2022年のケンタッキーダービーは、繰り上がりで出走した最低人気馬・Rich Strike(リッチストライク)が優勝しました。
また、日本ダービーの最低人気優勝記録は1949年のタチカゼ(19番人気、単勝55430円)です。
さて、今回の本題であるコリアンダービーでは、1998年の創設以降2度も最低人気が優勝しています。今回は、そんな2度の最低人気戴冠の状況をまとめました。

2006年~ぶっちぎりの最低人気が直線ぶっこ抜き・ペンノクチョン
まずは2006年。勝ち馬は백록정 (BAENGNOKJEONG、ペンノクチョン)。1997年の京成杯2着・スルーオグリーンの産駒です。
2005年7月にデビューし、初戦から3連勝で注目を集めますが、その後はダービーまでに5戦して1勝。2006年2月にクラス4を7馬身差で圧勝しますが、昇級したクラス3では11着、7着と全くいいところなし。しかも勝ち鞍は1400mまでで、1700mに距離を延ばした途端に大敗が続いたことで短距離馬とみなされたのか、ダービー本番は出走8頭中の8番人気(84.4倍)。7番人気の누진도 (NUJINDO、ヌジンド)が47.7倍だったので、これは断トツの最低人気と言っていいでしょう。
レースは2番人気、ここまで5戦4勝の서해번쩍 (SEOHAE BEONTCHEOK、ソヘビョンチョク)が引っ張り、それを1.8倍の1番人気、ここまで6連勝中の지상보배 (JISANG BOBAE、チサンボべ)が2番手で追う展開。ペンノクチョンは馬群から離れた7番手を追走していましたが、直線で大外に持ち出されると鋭く伸び、最後は2着の토토로 (TOTORO、トトロ)に2馬身半差を付ける快勝。馬連242.2倍、馬単1009.2倍の大波乱決着となりました。鞍上のファン・スンド騎手は実働23年間で88勝の地味な騎手でしたが、これが唯一の重賞勝利にして、ダービージョッキーの称号を得ることとなりました。
最低人気を覆して3歳馬の頂点に立ったペンノクチョンはその後、翌2007年にクラス2・クラス1を1勝ずつ積み重ね通算30戦7勝の成績で引退。種牡馬入りして2頭の牝馬を競馬場に送り出しています。

2008年~雨中の大波乱・エボニーストーム
続いて2008年。勝ち馬は에버니스톰 (EBONY STORM、エボニーストーム)。父のBUSTER’S DAYDREAMはアメリカで重賞を3勝。その父は日本ではミッドナイトベットの父として知られるHOUSEBUSTERです。
2007年にデビューするとダービーまでに10戦4勝の戦歴。直前にクラス2を制しているので実力がないわけではないですが、初の1800m戦、これといった重賞実績がないことが嫌われ、出走14頭中14番人気(95.3倍)に甘んじました。
当日は土砂降り、ドロドロの不良馬場。好位の外で競馬を進めたエボニーストームは、3~4コーナーで仕掛け直線入り口で先頭に立つ強気の競馬。雨に脚を取られ伸びあぐねる人気馬たちを尻目に粘りに粘り、ゴール寸前で強襲した3番人気・개선장군 (GAESEON JANGGUN、ケソンジャングン)をクビ差振り切って押し切り。馬単は731.5倍の配当となると共に、鞍上のシム・スンテ騎手に初のG1タイトルをもたらしました。
エボニーストームはその後9歳まで走り58戦11勝の成績。8歳までにクラス1で6勝を挙げるしぶとい活躍を見せ、最後の勝利となった2013年3月のレースも14頭中11番人気の低評価を覆してのものでした。
以上、最低人気でコリアンダービーを勝った馬2選でした。

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